いつでも君と














「ねー、ちょっと待ってよ!!」


「何でだよ。」


「歩きにくいんだよ!・・・・ねー景吾ってば!ゆっくり歩いてよ!!」


「ったく、新年から騒がしいなぁ〜お前は。」




そう言いながら、僕と歩調を合わせてくれる。
そんな景吾は、やっぱり優しいと思う。



今日は、新年ということで・・・こうして景吾と2人で初詣デート。
さすがに・・・1日ということで、ここは神社の入り口だというのに、かなりの人手だ。


僕たちが来たのは、縁結びで有名な神社。
僕たち2人には似合わないって?
普通の人は、そう思うだろうケド・・・実は、僕たち恋人同士というやつで・・・・
幼馴染ゆえ、とても居心地がいいしね。

この縁結びの神社、実は僕たちの地元にあるわけじゃない。
地元からココまでは、約1時間半かかる。
どうしてこんなに遠い場所に来ているのかというと・・・・




「はぁ・・・ちょっと苦しいなぁ・・・。」


「そんな女物の着物なんか着てくるからだろーが!帯キツイんだろ?」


「だって、姉さんが・・・」


「あぁ・・・・また遊ばれたってわけか。」


「・・・・うん。」




姉さんが、僕に女装させるのは、結構頻繁にあることで・・・・
頻繁だ。ということを知っているのは、僕の家族と景吾だけ。
夏なんかも女物の浴衣着せられて・・・景吾とデートしたっけ。
別に景吾との仲がバレてるわけじゃないと思うけど・・・・
真相は闇の中。
でも、近所の神社に初詣に行って・・・知り合いに会うわけにもいかない。
だから、景吾に家まで迎えに来てもらい、知り合いに会わない土地へ移動したってわけ。




「何が楽しくて、こんな格好させるんだろうね?姉さん。」


「そりゃぁ〜・・・・。」


「・・・・何?」


「・・・いや。」


「・・・言いなよ?」


「・・・・・お前が、綺麗だからだろ?女にしか見えないしな。」


「・・・・・・・。」


「怒るなよ。」


「怒ってない。」


「ったく・・・綺麗だって言ってんだろ?機嫌直せよ。」


「・・・・・。・・・・いいもん。こんな格好が似合うのも、今年くらいまでだよ。」


「成長するからな。・・・・ま、だからこんなに気合入れて着物着せたんだろ?」


「・・・・・・なるほどね。」


「ま、もう昔からのことだし慣れっこだろ?」


「慣れたくないけど。」


「クククっ・・・・俺は、新年から綺麗なお前見れて嬉しいけど?」


「・・・・・・・・。」


景吾が、こういう風に僕を素直に褒めてくれることなんてめったにないから・・・・
口では嫌だといいながら、いつも姉さんの玩具になっている節もあったりする。


「・・・・照れてんのか?顔赤いぜ?」


「照れてないよ!!」


「ククっ・・・・ほらっ。」



差し出された手

景吾の赤い顔



「人多いだろ?お前、すぐどっか行くからな。」


「・・・・・行かないよ。」


「危ね〜から。・・・・ほら!行くぞ!」


「わっ!待ってってば!・・・早く歩けないんだって!!」





















































































神社の本堂に行くまでの道のりは、長く・・・・
露店が出ている道を越え、階段をのぼらないと辿り着かない。

参拝客と参拝し終わった客
それぞれが通る道が、きちんと整備され、分けられているとはいえ・・・・
さきほども言ったように人が多く、歩いても歩いても人に押しつぶされている感じがする。

景吾・・・文句言いそうだな・・・

そう思ったけど、当の本人は、この混雑に愚痴1つ言わず
僕の手を引いて、もくもくと本堂を目指している。




ちらりと、景吾の横顔を見てみる。
ずっと変わらず綺麗な顔。





・・・あれ?・・・前にも、こうやって人ごみで手を引かれて・・・・















『ごめんな、周?・・・もう泣くなよ。・・・・ほらっ、手!
ずっと握ってるから。・・・俺が側にいるんだから、大丈夫だろ?』













隣にいる景吾の顔を見て、思い出した記憶・・・・






「・・・・?・・・・何だよ、さっきから俺の顔じろじろ見やがって。」


「クスクスクス」


「アーン?」


「前にもさ、こんなことあったよね?景吾の顔見てたら思い出しちゃって。」


「・・・いつの話してやがんだよ?」


「う〜ん・・・幼稚園くらいかな?5歳くらい。
景吾の家族とうちの家族で、初詣に行ってさ!・・・・その日も、今日くらい混んでて・・・・
景吾が、露店に気を取られてさ、僕も景吾についていったら・・・いつの間にか、みんなとはぐれちゃって・・・・
僕は、人ごみとみんながいなくなったことで・・・すっごく恐くなって・・・泣いちゃって。
そしたら、景吾は、泣きもせずに前を向いて・・・・僕の手をひいて・・・・・。大丈夫だよ!って。
そのまま、とぼとぼ本堂の方に連れてってくれて・・・・。」


「で・・・・どうなった?」


「途中で、親切な巫女さんが、迷子案内所まで連れてってくれた。・・・覚えてない?」


「いや・・・・。・・・・・覚えてるのは、そのときのお前を女だって思ってたこと。」


「クスクス・・・・何それっ?」


「そのときも、お前、姉ちゃんとおばさんに女モノの着物着せられてたぜ?」


「ふふふっ・・・・変わってないね?僕たち。」


「迷子には、なってね〜じゃね〜か。」


「クスクスクス」


「でも・・・・・」


「?」


「たぶん、そのときの俺は・・・・俺が、周を守らなくちゃ!って思ったんだろうな。皆とはぐれたのは、俺が
露店に行ったせいだって、わかってただろうし・・・・周も泣いちゃってたんだろ?
女の子だし・・・俺が守らないとって。」


「本当は、男だけどね?」


「ま、そんなことで泣くようなか弱い男だけどな?」


「ちょっと!か弱くなんかないよ!」


「クククっ・・・・。」









つないだ手は、今日みたいに・・・とても心強くって


まっすぐ前を見つめる景吾は、かっこよくて・・・・







「賽銭用意しとけよな?もうすぐ着くぜ?」



「うん!」









僕は、思ったんだ。



景吾と一緒にいれば、大丈夫だって。



一緒にいれば・・・・・
















お参りに来る前から、今年、神様に祈ることは考えてある。



だって、僕たちが迷子になった、その年から・・・・ずっと変わらず祈り続けていることだから・・・






『いつも景吾と一緒にいれますように』

















































というわけで跡不二正月小説です。
遅い・・・申し訳ないです。

解説しますと・・・・
これは、跡不二幼馴染verです。
前にも・・・夏祭りかな?不二が女性の浴衣着て来て・・・
跡部と一緒にお祭りに行くって話しがあったんですけど・・・
その話は、幼馴染設定じゃなかったんですけども・・・
気持ち的には、その続き!って感じで、この小説を書きました。

あと、「手をつなぐ」というのは・・・・
去年のクリスマス小説でも、「手をつなぐ」シーンがでてきたと思うんですけど
結構、意味があるんです。各自の解釈に任せますけど(笑)
だから、意味を持つ「手をつなぐ」行為を、年末〜年明けの小説に
両方描いて、ずっとね!跡不二は一緒なんだよ!って管理人の気持ちを
伝えてみたりしました(笑)年が変わろうが、変わらないだろうが関係なく
跡部は不二を、不二は跡部を大切に思う・・・・
ってのがうちのサイトの跡不二です(笑)

今年もよろしくお願い致しますv




2005.01.06