夏祭り





僕、不二周助と氷帝の跡部景吾は・・・付き合っている。

男同士というのは、理解されがたいのが現状。

僕たちは、僕らの関係を秘密にしていた。

会える時間も限られている。

夏休み・・・毎日がテニス部の練習で・・・関東大会があって・・・

互いに忙しい。でも、僕の家と跡部の家のちょうど中間くらいの町で行われる夏祭り。

その日は2人とも空いていた。

友人たちに会う確率も少ない。

僕たちは・・・デートへと向かうことになった。





















「遅い!」

待ち合わせの場所に遅刻してきたのは跡部。

「ふん。たいして待ってね〜だろ?それより・・・」

跡部が僕を眺める。

「何?」

「その浴衣・・・・。」

「あぁ、姉さんのだよ。女の子に見えるだろ?」

「あぁ、誰が見ても女だぜ。でも、何で・・・」

「僕、女顔だし・・・女の子に間違われてた方が・・・」


僕は跡部の腕にしがみつく。


「こうやって、堂々と歩けるだろ?久しぶりに会うから・・・腕、組みたかったんだ。」

「ククっ。」

跡部は少し笑って僕の頬にキスしてきた。

「行くぞ!」

「うん♪」




本格的なお祭りで・・・

出店がたくさん出ていた。

お神輿や山車まで出て・・・とても豪華だ。

「あ!わたあめ!!」

「お前、辛いのだけじゃなくて甘いのも好きなのか?」

「うん。甘いのも好きだよ。」

僕は跡部にわたあめを買ってもらった。

僕たちは近くの公園のベンチに腰をおろした。人気がなく、暗い公園。

しかし、そこからもバッチリお祭りの風景が見渡せる。



「・・・・。」

「写真撮りたいなって顔してるぞ?」

「あっ・・・クスクス・・・バレた?何か・・・幸せなんだもん。」

「?」

「跡部と堂々とデートできて、腕組んで歩けて・・・それだけでも嬉しいのにさ、
 出店は、たくさん出てるし、お神輿や山車まであって綺麗で・・・幸せだから・・・。」


僕は跡部に寄りかかる。


「幸せだからね・・・その瞬間を撮れたらいいなって。」


跡部は僕をきつく抱きしめる。

「!?どうしたの?」

「お前・・・つらいか?」

「何が?」

「俺と付き合うことだよ。」

「・・・辛いと思ったことなんてないよ。寂しいときはあるけど・・・
 僕は跡部と一緒にいられるだけで・・・声を聞けるだけで幸せなんだ。だから・・・」

言葉の続きは・・・彼の口付けによって遮られた。


深く

深く・・・

そして甘く。

何度も・・・何度も・・・


「んっ・・・はぁ・・・。」


僕らの吐息だけが公園に響く。


僕は再び跡部に抱きしめられた。

「俺も・・・お前が・・・
好きだ。」

「クスっ・・・聞こえない。」

恥ずかしがってめったに言わないセリフ。僕は少し意地悪してやった。

「不二が好きだ。」

「ふふっ・・・ありがとう。」



神様・・・時間を止めてください。

この瞬間を永遠に・・・

すごく嬉しいから・・・・

すごく・・・すごく・・・












アメリカで同性愛者同志の結婚を許すか許さないかで問題になってますでしょ?
とても難しい問題だけど・・・
私は許してもいいと思う。
でも、その考えをみんなに浸透させるには・・・理解が必要だよね。

そんなことを頭に入れつつ書いたもの。