DISTANCE
佐伯の家は千葉県にある。
僕の家は東京。
会うのは・・・大会のときや、たまに時間が合った日にデートするくらい。
それでも・・・幼馴染だし、気が合う。だから恋人にまで発展した。
遠距離恋愛。
今日は、海に連れて行ってくれるらしい。
会うのは・・・いつぶりだろ?
僕は海が好きだった。
今日は6月なのに日差しがまぶしい。梅雨明けしたみたいだ。
まだかな・・・・。
佐伯を指定された駅のベンチで待つ。
待ち合わせの1時まであと少し。
バタバタバタっと走る靴音が聞こえる。
「お待たせ。待った?」
「ううん。待ってないよ!」
「何か・・・また綺麗になった?」
「クスクスっ。言われても嬉しくない〜。」
「ははは。ま、そ〜いうな。行こうぜ!」
「うん。」
海までの道は上り坂。
結構、観光地のようで、お土産物屋さんがひしめく。
休日なので、人通りも激しい。
「結構、たくさん人がいるね。」
「そうだな・・・。」
佐伯が僕の腰に手を回す。
「・・・平気?」
「何が?」
「男同志でこうやってさ・・・。」
「平気だろ。お前、綺麗だし。」
「ちょっとそれ、どういう・・・」
「それとも嫌か?」
潤んだ瞳が僕を見つめる。
日の光で、普段より佐伯がかっこよく見える。
「いや、嫌じゃない。」
そういって僕も彼の腕をつかむ。
クスっと佐伯が笑う。
「裕太くんは元気?」
「あぁ・・・元気だよ!」
「仲良くなった?」
「ん〜・・・前よりは!」
「そっか。よかった。」
「それより、海まだ着かないの?かなり坂道登ってるけど?」
「海には行かないよ。」
「えぇ!?じゃ、どこに・・・」
「いいから着いて来いよ!土産物屋があったってことは、観光名所には違いないんだからさ!」
ぐいぐいと坂を登る佐伯。
今日は日差しが強い。
息が切れる。
暑さと坂道で体力が奪われる。こんなの・・・テニスで慣れてるのに・・・。
「不二っ!?」
少し前を行っていたはずの佐伯が、いつのまにか僕の横にいて、肩を抱く。
「大丈夫か?」
「んっ・・・?・・・平気だよ。ごめん、僕、ふらついてた?」
「あぁ。・・・珍しいな。どうした?」
「ん〜・・・君に甘えたかったのかも。」
「・・・・。」
「・・・何?何か言ってよ。恥ずかしいだろ。」
「あ・・・いや、お前やっぱり可愛いわ。」
「も〜・・・だから嬉しくないって!!」
「あっ・・・ほら、着いた。」
そこは、街全体を見渡すことができる場所で・・・海もとても綺麗だった。
「うわ〜・・・きれい・・・。」
目を輝かせて見る僕。
そんな僕の横では、佐伯が嬉しそうに僕を見つめる。
「絶対・・・好きだと思ったんだ。不二。こういうの。」
「うん・・・感動・・・・。佐伯、ありがとう!」
「登ってきたかいがあるだろ?」
「うん!ここ面白いね!!普通の坂道登ってきただけなのに・・・・
山とかじゃないもんね、ここ。展望台ってわけでもない。ただの高台なのに・・・・。」
「ラバーズ・ヒルっと言うんじゃよ。」
不意に声をかけられて、僕たちは驚いた顔をして振り返る。
「おっと・・・驚かせたようで。」
帽子をかぶって、杖をついた70歳くらいのおじいちゃんだった。
「わしは、この辺りの案内役でな。といっても近所に住んでいるだけなんじゃが・・・
ここの景色が好きでな・・・。」
「あの・・・ラバーズ・ヒルって・・・。」
「ふふふ、綺麗なお嬢さんのために説明しよう。」
「お、お嬢さん!?」
佐伯と目が合った。
彼はクスクスと愉快そうに笑いはじめる。
「佐伯っ!」
僕はむすっとした表情になる。
「ん?どうした?」
「あ、いや。・・・続けてください。」
「ふむ。君もなかなかの好青年だな・・・佐伯くん?・・・よし、説明しよう。
LOVER's HILL・・・恋人たちの丘。」
「恋人たちの丘?」
「そうなんじゃよ、お嬢さん。ここで、これくらい晴れた日に恋人同士で口付けをかわしている写真を撮ると・・・
結ばれるという伝説があるんじゃ。ほれ、この間結婚した有名人・・・彼らもここに来ておったぞ?」
「へぇ・・・」
「不二!」
「何?」
「俺たちも・・・撮るか。」
「えっ!?や、やだよ!!恥ずかしいもん。」
「若いのが、恥ずかしがるでない。ほれ、わしが撮ってやる。カメラはあるかね?」
「お前、いつも持ってるだろ?」
「・・・も〜・・・。」
僕はかばんからカメラを取り出す。
いいものがあったら、いつでも撮れるように・・・いつもかばんに入れてあった。
「ほぉ・・・随分と古いカメラじゃな・・・。」
「好きなんです。写真も・・・そのカメラも・・・。」
「・・・。ほれ、そこに並んで!3.2.1で撮るぞ?」
「はい!ほら、不二!」
「あ、うん。」
後ろには、海と町並み。隣には佐伯・・・。
「不二・・・。」
真剣な眼差しが僕を拘束する。
佐伯の唇が僕の唇を奪う。
「では、とるぞ。・・・3.2.1・・・。」
「・・・・んっ・・・?」
「あっ・・・起きた?」
眩しい・・・外・・・みたいだ。
佐伯が僕の顔を覗き込む。
「おはよう、不二。」
「ん〜?・・・おはよう・・・・って、えっ!?」
ここは駅のベンチ。
写真を撮ってもらっていたはずじゃ・・・。
時計を見る。1時半だ・・・。
「ごめん!寝てたの、僕!?起こしてくれたら良かったのに。」
「いいや・・・・前よりも綺麗になったなって惚れ直してたから。」
「も〜・・・嬉しくないよ!」
「ははは。まぁ、そ〜いうな。行こうぜ!」
「うん!・・・海・・・とみせかけて、LOVER's HILLに?」
「・・・!?何で知って・・・。」
「クスクスっ。早く、いこっ!!」
不二くんなら・・・正夢見そうかな?とか思ってv(コラっ)
佐伯と不二は夏!!ってイメージがある。
でも、アニプリの六角のところ見てないので・・・いまいち2人の関係がわからない。
原作では、もっとわからない!(笑)
でも、好きな2人。腹黒コンビv(えっ!?)