意味と答え〜alive or dead〜 第3章







今日もよく晴れている。
青学のテニスコートからは、掛け声が飛び交い、練習にも熱が入っている。
部室で着替えていると・・・同じクラスの菊丸英二が話しかけてきた。







「不二ぃ〜!昨日どうしたの?」

「あぁ・・・ちょっと体調悪くてね。」

「えっ?大丈夫なの?」

「うん、もう平気。」














忍足くんが、怪我をしていたので・・・うちに泊めた。

その日の夕方、彼は自宅へと戻っていった。

顔が少し腫れていたが・・・階段で転んだ!っと言い訳するらしい。
























彼とあんなに話しをするのは初めてのことだ。

氷帝の天才。僕の羆返しを使う人物・・・・
彼に対する知識はそんなものだった。


色々な話をしたな・・・・

家族の話、映画の話、テニスの話、学校の話・・・・・・

昨日、1日過ごしただけで・・・彼はとても優しい人だとわかった。

怪我をしていたのも、女の子を助けたからであって・・・・

救急車を呼ぶことを嫌がったのも・・・・きっと家族に迷惑をかけたくなかったからなのだろう。


彼に対する興味が沸いた・・・・。


















着替え終わって、外に行くと・・・・大石が心配そうな顔で竜崎先生と話しをしていた。
あまりにも真剣な顔つきだったので・・・
一体、何が起こったのだろうとこっちまで心配になり、声をかける。




「どうかしたの?」

「あぁ・・・不二・・・それが・・・・。」

「最近・・・関東の強豪テニス中学校生徒を狙った暴力事件が続発しているらしいんじゃ。」

「・・・・どういうことですか?」

「犯人はどうやら・・・高校生くらいの少年数人らしい。昨日も山吹中の生徒が被害にあったと連絡が入った。」

「・・・・・・・。」

「一昨日は、氷帝学園。一昨日、氷帝は行事をやっていたらしい・・・制服姿だと一目瞭然だからなぁ・・・
一昨日は3件じゃ。」

「3件も・・・ですか?」

「あぁ・・・後で、私から皆に注意するよう言うが・・・青学生徒も狙われる危険がある。
十分注意して・・・帰るときは、1人で帰ったりしないように・・・・。」

「はい。」



















忍足くんが怪我をしたのは、一昨日・・・。
忍足くんがかばった女の子は・・・・おそらく氷帝の子なのだろう。
嫌な・・・予感がする。



「大石、もう練習始めちゃう?」

「あぁ・・・先生がみんなを集めて注意を促したら・・・。」

「そう・・・僕、ちょっと電話してきてもいいかな?その注意事項聞いたし・・・・急用なんだ。」

「あぁ・・・早めに戻れよ!」

「うん!」














急いで部室に戻り、カバンから携帯を取り出す。
向かう場所はただ1つ・・・・
電波がよく、あまり人目につかない裏門付近。
そこはとても静かで・・・木々が日光を遮っている場所。
それでも葉と葉の隙間から射す日差しがとても綺麗なところ。
僕の密かなお気に入りの場所だった。














プルルルルルル・・・・プルルルルル・・・・・

「もしもし?」


僕が電話をした相手は・・・おそらく練習中なのにもかかわらず数回のコールで電話をとったようだ。
この少しえらそうな声・・・久しぶりに聞く。


「景吾?僕だけど・・・・。」

「あぁ・・・不二か。」

「練習中?」

「わかってんなら電話かけてくんじゃね〜よ。」

「でも、出てるじゃない。」

「ったく・・・何だよ。用件は?お前から電話してくるなんて・・・珍しいじゃね〜か。」



電話の主は跡部景吾。
氷帝学園の生徒会長・しかもテニス部部長。
僕たちは・・・六角中の佐伯も含めて幼馴染だった。
試合会場でも・・・佐伯とは話すけど、景吾とはあまり話さない。
でも・・・やはり昔からの絆があり・・・声を聞くと安心する・・・そんな存在だった。



「まぁね。・・・・氷帝の生徒が襲われたって?」

「・・・あぁ・・・よく知ってんじゃねーか。」

「うん。・・・昨日は山吹中がやられたみたい。・・・竜崎先生が今、みんなに注意を促してる。」

「そうか・・・。」

「忍足くんもね・・・。」

「忍足?」

「うん・・・・彼も、きっと被害者なんだ。ちゃんと学校来てる?」

「・・・・あぁ。」

「彼が一昨日公園で倒れてたから・・・僕の家で看病してたんだ。結構、ひどい怪我で・・・・
女の子を助けた代わりにやられたみたい。彼から話、聞いてる?」

「あいつは、人にそんなこと言わね〜だろうよ。」

「えっ?」

「今も・・・こんな暑い中でジャージ着てテニスしてるぜ?・・・どこ怪我してんだ?」

「腕と足と・・・全身だね。顔、少し腫れてない?」

「あぁ・・・階段でこけたとか言ってたな・・・。」

「それ信じちゃったの?」

「本人が言うんだからな。」

「クスクスクスクス。」

「笑うなよ。・・・・とにかく、さんきゅ〜な。あいつがジャージ着てんのは、きっと怪我を周りに悟らせないようにするためだ。
あいつ・・・結構、クールそうにみえて優しいやつだかんな。練習は、ほどほどにさせる。」

「景吾は、やっぱり人をよく見てるね・・・・。」

「あたりまえだろ?」

「クスクスクス・・・。」

「・・・・不二。」

「ん?」

「お前も気をつけろよ。生徒会に入ってきた情報によると・・・そいつら複数で・・・しかも顔がわれないらしい。
氷帝の被害報告3件は・・・みんな殴られたり、蹴られたりと軽傷を負ってる。やつらが狙っているのは・・・
テニスの強い学校の生徒だ。やつらがそう言って現場を去っていったんだとよ。・・・青学も危ないぜ?」

「わかってる・・・景吾も気をつけるんだよ?」

「あぁ。・・・それとな・・・」

「何?」

「いくら興味がわいても、これには関わるなよ!お前、犯人探したりしそうだからな。
時間があればもっと詳しく説明してやりて〜ところだが・・・とにかく犯人ヤバそうだぜ?
今、教師たちも警察と連携して調べを進めてる。うちの会社グループも協力してる。
だから、じっとしてろよ?」

「クスクスクス・・・そんなこと言われなくてもしないよ。」

「・・・だといいんだけどな。お前、昔から無茶なことやるとこあるから・・・危なっかしいんだよ。」

「クスクスクス。」

「そろそろ切るぜ?練習に戻んね〜と。」

「あぁ・・・僕もだ。忙しいとこ、ごめんね。」

「いや・・・じゃ〜な。」

「うん。」













景吾は・・・本当によく僕のことをわかっている。

自ら犯人を捜したりはしないが・・・もし、犯人とあったら・・・僕は・・・・。







青学の練習に戻る僕。

氷帝で練習をする君。

この事件が・・・後々、僕らに重大な影響を与えるなんて・・・

このときは知るよしもなかったのだ。

だから・・・・

侑士・・・・・・

君は苦しまなくてもいいんだよ・・・・











別に跡部と不二の幼馴染説を推奨しているわけではないんですけど(笑)
話に使ってみたかったし、この方が話が通りやすかったので
今回は幼馴染設定を使ってみました。
あと・・・ずっとそうだけど伏線入れまくりっすね。
早くクライマックス書きたい!!!(>_<)