意味と答え 〜alive or dead〜 第5章








頭がズキズキと痛む。






「・・・・周・・・大丈夫か?」

「・・・・・侑士?」


目を開けると、そこには心配そうな侑士の顔。
ここは・・・どこだろう?
病院のようだ。
とても薄暗い病院内。
頭には包帯が巻かれ、僕はベッドに仰向けに寝かせられている。
侑士の方は、無傷のようだ。
よかった・・・・。


「病院や。警察のな。あんた・・・犯人に殴られて気絶してたんやで?」

「女の子は!?・・・・ッ・・・。」


急に起き上がると、襲ったのは激痛。
ぐらっと体が倒れそうになるのを、侑士が横から手を添えて助けてくれた。


「俺に寄りかかり。・・・無茶しよってからに。・・・女の子は、無傷や。
やられる前に、俺らが駆けつけたみたいやで?」

「そっか・・・よかった・・・。」

「あんたの方がヒドイ怪我や・・・あんたが、青学の第一被害者になっても〜たな。」

「・・・・。・・・犯人の顔・・・。」

「ん?」

「一瞬、見えたんだ。・・・あいつどこかで・・・・。」



コンコン





ノックと同時にガラっと扉が開かれた。
警察の人と・・・僕の家族だ。
心配する母と姉に、気を遣わせないように、痛む傷をこらえる。
事情聴取がしたいということで・・・
その場で、事情聴取が行われることとなった。
母と姉には、恐い思いをさせないように、病室の外で待っていてもらうことにした。
侑士は、その場に残り、彼の事情聴取は終わったものの、僕の話から想いだすことがあったら言うように
と刑事さんからの指示があった。

僕たちは、悲鳴が聞こえたところから、鮮明に話始める。
女の子が倒れており、それが青学の生徒だったということ。
侑士をその場に残して、僕は犯人を追跡したこと。
複数いたので・・・1人に絞って追い詰めたこと。





「それで・・・犯人の顔を君は見たのかね?」

「いいえ・・・。」

「!?」

「ん?どうしたんだね?忍足くん?」

「・・・・いえ、続けてください。」

「もうちょっとで覆面が取れそうだったんですけど・・・その前にお腹を殴られていまって・・・。」

「そうか・・・犯人の特徴を言えるかな?」

「はい。・・・僕よりも小柄で・・・150p台なのかな?・・・服装は、全身黒。そして、覆面をかぶってました。」

「声とかは、聞いたかな?」

「いえ・・・でも、男の人だと思います。」

「・・・どうしてだね?」

「走るスピードが速かったから。・・・男の僕が追いつくのに手こずったくらいです。」

「・・・・なるほどね・・・。ありがとう、不二くん!参考になったよ。君は・・・。」

「あぁ・・・家に帰ってもいいですか?明日、学校行きたいので。」

「医師によると、怪我も軽いようだから・・・本人の意思に応じて帰ってもいいそうだよ。」

「ありがとうございます。」

「忍足くんは・・・さっき、不二くんのお母様が、おうちに泊まるようにと言っていたよ?」

「えっ?」

「もう、夜中の2時だ。家には、こちらから連絡したから。・・・本来なら、親御さんに迎えにきていただかないと
帰せないんだがね・・・不二くんのお母様に、忍足君の保護者になっていただいたから。」

「お〜きに。」

「いや・・・。・・・君たち、2人とも狙われている学校の生徒だからね!次があるかもしれない。
十分に注意しなさい。」

「はい!」

「うん・・・では、失礼するよ。」

























































母と姉と侑士と僕。
こんな変な4人で僕の家に戻ったのは・・・午前2時半だった。
母さんたちは、僕が無事でよかったと。
もう深夜だったので、早めに僕らを部屋へ戻してくれた。

頭とお腹がまだ痛い。

本当は・・・歩くのが少し辛い・・・・。

でも・・・・家族にこれ以上、心配はかけられなかった。



「どうして・・・犯人の顔を見たこと黙ってたん?」


僕のベッドの横に敷いた布団から顔を覗かせて、侑士が眠たそうに声をかけてくる。
侑士は、明日の朝、僕と一緒に家を出て、学校へは遅刻していくそうだ。
僕も明日は朝練に行こうとしていたのに・・・・
怪我のこともあり、親や姉や侑士の反対にもあい・・・欠席することにした。


「・・・・・・どうしてだろうね?」

「何や・・・めっちゃ企んでますって顔してるで?」

「えっ?そう?」

「・・・・・・自分で犯人探そうとしてんとちゃうん?」

「ご名答v」

「アホか!やめや!!危ないで?」

「僕・・・こういう好奇心がそそられること大好きなんだ。それに・・・許せない。罪もない人を次々と・・・・。」

「・・・・周・・・・。」

「君が止めても、僕はやるよ?・・・別に僕から探しに行くんじゃない。あいつらは、絶対僕を見つけにくる。
唯一、顔を見たんだからね、僕は。そこを捕まえるだけだよ。」

「・・・・・はぁ〜。」


黙って僕の話を聞いていた侑士から大きなため息が漏れる。


「跡部のいう通りやな。」

「ん?」

「あいつと関わるとろくなことないぞ!ってな。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・。俺が、あんたを守ったるよ。」

「えっ?」

「ピンチのときは、メールか電話し〜や!」

「・・・・クスクスクス・・・ありがとう。」









































君がいてくれたから・・・・

君が守ってくれたから・・・・

僕は・・・・・・。


僕が引き起こしたことなんだよ?侑士。

だから・・・泣かないで?

そんなに・・・僕のことを想わないで?

僕の胸が張り裂けそうだよ。