夏にしては、涼しい風が頬をかすめる
周りの草花は、太陽の光をいっぱい浴びて気持ち良さそうに揺れる
僕と跡部は、ベンチに2人・・・
疲れた!と、ぶっきらぼうな物言いで、ドカっと、この木製のベンチに座った君を追って・・・
僕も、君の横にちょこんと座る。
僕らの後ろを取り囲む木々ではセミが夏らしい声をあげている
こんな休日も・・・悪くはない。
心音
僕たちは、夏休みを利用して、自然公園にデートに来ていた。
写真が趣味の僕としては、前から1度行ってみたかった、この公園は
何と、跡部グループが経営を担っていたらしい。
夏の大会に向けて、日々の練習が過酷さを増す中、ふっと2人そろっての休日。
どこへ行くかなんて知らされぬまま、跡部の家の豪華な黒塗りの車が僕の家の前で止まり・・・
気がついたら、ここに連れてきてくれていたっというわけ。
さすが、経営担当のご子息とその友人・・・・ま、本当は恋人なのだけれど・・・・
というだけあり、タダで公園内に入れてくれた。
ここの公園は、例えるなら東京ドーム2つ分ほどの広さがあり、春・夏・秋・冬、季節に応じた草花や木々、
鳥や昆虫などを見せてくれる。
他にも、夏には屋外プールをやっていたり、子供たちが遊ぶ遊具もたくさんある。
オリエンテーション企画や自然と触れ合う企画などもあり・・・いつも家族連れで賑わっているようだ。
この日も、大勢の人々がここに訪れていた。
僕が写真を撮りたい場所に好きに動いていいと跡部に言われたので・・・・
僕は跡部を引き連れて、至るところを歩きながら、その場その場を写真におさめていった。
ひまわりやアゲハチョウ・・・・
元気に走り回る子供たち・・・
色々な表情を繰り返す自然や人々に・・・・
シャッターを押すたびに、僕は夢中になっていった。
だから、こうやって跡部が機嫌悪そうにベンチに座り込むのも無理はない。
少し反省しながら、相手の表情を見やる。
「アーン?何だよ。」
僕の視線に気づいて、跡部は不機嫌そうな声をあげる。
「ごめんね?」
「あ?」
「ついつい、写真撮るのに夢中になっちゃって・・・・付き合わせてゴメン。」
「・・・・別に、お前が謝るこた〜ね〜だろ〜が。」
「クスクス・・・拗ねないでよ。」
僕は、そっと跡部の肩に寄りかかる。
厚い胸、鍛え上げられた腕・・・僕をしっかりと受け入れる。
腰に感じる君の手のぬくもり
「ふふっ・・・今日が涼しい日で、よかった。」
「?」
「嫌でしょ?暑い日に、こんなにベタベタするの。」
「・・・・別に。」
「・・・えっ?」
「お前とくっついてんなら、構わねーよ。」
嬉しくて・・・思わず笑みがこぼれる。
カシャっと響くシャッター音
跡部がいつのまにか僕のカメラを手にかざしていた。
「・・・跡部?」
「・・・写真ってのもいいもんだよな?・・・お前の笑顔が・・・残るもんな?」
「・・・・どーしたの?」
「アーン?」
「・・・・すっごく恥ずかしいんだけど・・・・。」
「クククっ・・・・たまには、こんなデートもいいな。お前、今日すっげ〜いい顔してたぜ?・・・ずっとな。」
「・・・・えへへっ。」
こんな僕らを他の人たちが見たら・・・バカップルな〜んて称されるのかもしれない。
でも・・・・別にそれでいいや・・・・。
そのくらい幸せで・・・・
再び、跡部の胸に顔を埋めてみる。
君は僕の髪をすく。
その指先が・・・とても心地いい。
トクン・・・・トクン・・・・・
跡部の心拍音が聞こえる。
「心臓の音って・・・安心するよね?」
「・・・・んっ?」
「君の心臓の音が聞こえる・・・何か、安心する。・・・不思議。」
「・・・・お前って、可愛いのな?」
「えっ?」
「可愛い。」
そっと、額にキスが降ってくる。
こんなときは、跡部の機嫌がいい証拠。
何だかんだいって・・・このデートを楽しんでいるんだ。
「お腹すかない?・・・どっかで、ご飯食べようか?」
「いーや・・・もう少し、こうしてろよ。」
「・・・・?」
「俺様の側にいろ。」
トクン・・・トクン・・・トクン・・・・・
さっきより鼓動の激しい跡部の心臓
照れてるのかな?
ドキドキしているのかな?
それとも・・・・?
久しぶりに、こんな内容のない物語書いた!!(笑)
そして、気づいた。
私、甘い話好きなんだ〜!!(笑)
バカですね。跡部も不二も私も!!(笑)